「作る」を意味する英語(動詞)はcreate / fabricate / make / manufacture / produceなどが考えられます。
「作る」といえば、いちばんに思い浮かぶのはmakeでしょう。ネイティブもそれは同じですが、それ以外の動詞はどう使い分けるのでしょうか?
それには、何をどれだけ、 どこでどのように作るのかが関係します。その違いを解説していきます。
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create「新しく作り出す」
createのネイティブイメージは「新しく作り出す」です。
(新しいものを)作る、創造する、開発する」、「(物事を)引き起こす」など、ゼロから何かを生み出すような建設的な表現になります。
create a masterpiece (名作を生み出す),create...out of nothing (無から…を作り出す),create a better relationship (より良い関係を築く)などは、あらゆる状況で幅広く使われます。
createの用例
God created the earth in six days and rested on the seventh day.
(神は6日で世界を作り7日目は休まれた)
It took years for scientists to create a model of the atom.
(科学者が原子核のモデルを作リ上げるのに数年かかった)
fabricate「加工する」
fabricateのネイティブイメージは「加工する」です。
「(製品を)加工する」「(部品などを)組み立てる」「(本当ではないことを)ねつ造する」など、手で加工して何かを作る、手を加えてでっち上げるなどの表現に用います。
fabricate a tool (道具を加工する),fabricate a chemical (化学製品を作る),fabricate an alibi (アリバイをでっち上げる)のように使います。
fabricateの用例
We fabricated the microchips using a UV polymerization technique.
(uv集合技術を使って、マイクロチップを組み立てた)
The diode was fabricated with a lithography process.
(ダイオ一ドはリトグラフを作る過程で作られた)
make「作り上げる」
makeのネイティブイメージは「作り上げる」です。
「作る」「(…の状態に)する」「成功する」など、何かを作り上げる意味で用いられるもっとも一般的な動詞です。
make lunch (昼食を作る),make a movie (映画を製作する),makelaws (法律を制定する)などの言いまわしがあります。
makeの用例
We made a schedule for our trip to London.
(ロンドンへの旅行の予定を立てた)
This furniture is made by hand in Indonesia.
(この家具はインドネシアで手作りされたものだ)
manufacture「製造する」
manufactureのネイティブイメージは「製造する」です。
「(機械を使ってものを)製造する」など、大規模に何かを作り出したりする表現に使います。。工場で大量にものを製造したり、機械や部品を作るようなイメージの動詞です。
manufacture home appliances (家電製品を製造する),manufacture parts in large quantities (部品を大量生産する)などの言いまわしがあります。
manufactureの用例
ABC manufactures computers mainly for the European market.
(ABC社は、おもにヨ一ロッパ市場向けにコンピュータを製造している)
The factory has the capacity to manufacture 30,000 parts a day.
(その工場は1日に3万個のパーツを製造する能力がある)
produce「生み出す」
produceのネイティブイメージは「生み出す」です。
「(新しいものを)作り出す、製造する」「生じさせる」「引き起こす」など、新しく成果を生み出す表現に用います。
produce...in large quantities (…を大量生産する),produce...on a commercial basis (…を商品化する)などの言いまわしがあります。
produceの用例
Japan produces more automobiles than any other country.
(日本はほかのどの国よリも多くの自動車を製造している)
Most of these parts were produced by a factory in Thailand.
(これらの部品のほとんどはタイの工場で作られた)
「作る」を意味する動詞の使い分け
①創造を連想する動詞
例文:It took 20 artists to create this enormous masterpiece.
(この巨大な傑作を作るのに20人のアーティス卜を必要とした)
西洋人がcreateと聞くと、創造主である神が世界を作る際の動詞createをすぐに連想します。名詞のthe Creator (創造主)には「神」の意味もあり、 こから派生してcreateには、かなりの努力や技術を要する「物凄いもの」を作るイメ一ジがあります。
そのため、He created a wonderful plan.(彼はすばらしい計画を立てた)や、I’ve been creating music for over 50 years.(私は50年以上も作曲を続けている)などとは言うが、He created a small problem.や He created a little plan.はどことなく不自然に聞こえます。
この例文もenormous masterpiece (巨大な傑作)とあるので、createのイメージにぴったりです。
同じく「作る」のもっとも一般的な動詞makeも、ここで問題なく使えます。ただしcreateを最適としたら、makeは使えるという程度でしょう。一方、fabricateとproduceも文法的に間違いではないですが、それぞれのニュアンスから自然に使われるとは言えません。
②細かな加工作業の動詞
例文:This detailed prototype was fabricated using precision equipment.
(この精緻な原型は精密機器を使って組み立てられた)
「作る」を意味する動詞のいずれを当てはめても文法的に問題なく、程度の差はあるものの、基本的にどれを入れても意味は通じます。
しかし、ニュアンスの差で、fabricateが最適です。
ここではprecision equipment (精密機器)とあるので、工場での組み立て作業のことだと考えられます。しかもdetailed prototype (精緻な試作品)とあるため、 細かな加工作業を必要とする作業のように思えます。
fabricateなら、そのイメージにぴったりです。
createも可能ですが、どちらかというと新規に「開発する」「作る」というニュアンスが強いです。またmanufactureは機械を使った大型製品の製造を、produceは大量生産を連想させる語です。
「作る」の万能動詞makeももちろん使えますが、detailed (精緻な)があるため、 fabricateのほうがより微妙なニュアンスも出せるでしょう。
状況に最適なfabricateがあるため、それよりも少し異なるニュアンスを持つcreateとmakeは可能と、manufactureとproduceはやや不適切と判断できます。
また、fabricateに近い語にfabricやfashionがあります。fashionには今でも「作る」という意味が残っており、
This part was fashioned using precision equipment.(この部分は精密機器を使って作られた)と言うことも可能です。
③「簡単に作る」動詞
例文:Instead of buying a pencil holder, I just made my own.
(鉛筆立てを買わずに、自分で作った)
makeのイメージは「簡単に作る」「手で作る」です。非常に使い勝手のいい動詞で、 さまざまな表現に使えます。
例文は、「鉛维立てを買わずに、自分で作った」という意味になると考えられます。 「買わずに、簡単に手作りできる」という発想からも、makeがぴったりです。
createを使うことも可能ですが、形容詞creative (創造的な)の意味にもあるように、createはゼロから新しい発想のものを作り上げるようなニュアンスがあります。
He created the world’s first bionic lower-limb system.(彼は世界初となる、生体 工学に基づく人工下肢[義足]を作り上げた)のようなイメージです。
そのためこの例文には、makeがふさわしいでしょう。
④小規模生産の動詞
例文: This little factory produces three types of industrial tools.
(この小さな工場は3榧類の工具を製造している)
make / manufacture / produceの3つは、ほとんどのネイティブも、きちんとした定義の違いを把握していないといいます。直感に近い、ちょっとしたニュアンスの違いで使い分けているにすぎないようです。
manufactureは工場のように「大規模な製造」に対して使われますが、produceはより「小規模な製造」や、「新しいものの製造」に関して用いられます。一方、 makeは意味を限定していないため、さまざまな意味で使えます。
manufactureは「ほぼ工業製品に限定」されるが、produceは「工業製品にも非工業製品にも」使えます。
たとえばABC produces / makes cheese. (ABC社はチーズを製造している)とは言いますが、manufactureは不自然です。manufactureであれば、
This factory manufactured oil storage containers.(この工場は石油貯蔵コンテナ を製造した)のように用います。
この例文が工業製品を指していると考えれば、manufactureとmakeが最適と判断できます。
しかし、little factoryとなっているため、小規模生産の工場と思われます。そうなるとproduceが最適です。
industrial tools (工具)という目的語からもmanufactureでは大きすぎるので、やはりproduceが適当でしょう。
⑤機械で製造(大量生産)する動詞
例文:How many cars were manufactured last year in Japan?
(去年、日本で何台ぐらい自動車が作られたのだろうか?)
大量の工業製品を指すなら、manufactureが最適です。
本来は「手で作る」という意味でしたが、工業化にともない、今ではもっぱら「機械での製造」をいいます。
自動車は機械で大量生産されるため、「製造」というニュアンスを持つmanufactureがここでは最適でしょう。
しかし、「製造」ではなく「生産」に主眼を置いた場合、「生産する」の意味を持つproduceを使います。produceは農産物や収穫物、製品、生産物など、幅広い目的語に対して使える動詞です。
例文は何台の自動車が作られたかが問題となっているため、「製造」とすれば manufactureが、「生産」とすればproduceを使うのが最適となります。
一方、makeはある意味、曖昧に使えるため、ここでも問題なく使えます。