「思う、考える」を意味する英語(動詞)はbelieve / feel / imagine / thinkなどがあります。
数ある動詞の中でも、「自分の考えを伝える動詞」こそ、常日頃もっともよく使うかもしれません。
そして、何をどのように感じるか、あるいは「思いの強さ」などによって、使うべき動詞は変わってきます。
各動詞のニュアンスをつかみ、的確に自分の考えを伝えられるようにしましょう。
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believe「正しいと思う」
believeのネイティブイメージは「正しいと思う」です。
「信じる」「思う」「確か…と思う」など、自分が正しいと思ったことに対して使う動詞です。
believe in... (... の存在を信じる、信頼する),believe it or not (信じようが信じまいが),believe me(信じて)などの言いまわしがあります。
believeの用例
I believe that this is the best way to increase efficiency.
(これが効率を上げる最善の方法だと私は確信している)
I believe she's already signed the contract.
(彼女はすでに契約書にサインをしたと思うが、私はまだそれを見ていない)
feel「感じる」
feelのネイティブイメージは「感じる」です。
「触れる」「手探りで進む」「感じる」「思う」「自覚する」などの意味があります。論理的に何かを考えるというよりは、感覚的に何かを感じ取るようなイメージの動詞です。
feel like...-ing (…する気になる),feel free to…(自由に…する),feel for...(…に同情する)などの言いまわしがあります。
feelの用例
I feel we have done our best to make sure this merger works.
(この合併を確実に成功させるために、弊社は最善を尽くしてきたと思っています)
We don’t feel your proposal meets our requirements.
(御社の提案は、弊社の要求を満たしているとは思えません)
I feel something bad is going to happen.
(何か悪いことが起こる気がする)
think「思う」
thinkのネイティブイメージは「思う」です。
「思う」「考える」「(…する)つもりである」「予期する」などの意味があります。「考える」の意味ではもっともよく使われる語で、ちょっとした思いつきから深い考えまで、あらゆる思考に使えます。感覚的なものではなく、頭で考えたものに使います。
think a lot about...(…についてよく考える),think to myself (ひそかに考える)などの言いまわしがあります。
thinkの用例
I don't think I can agree with you.
(あなたには同意しかねます)
I think she likes our idea, but I’m not sure.
(彼女は私たちのアイデアを好きだと思うが、確信はしていない)
imagine「想像する」
imagineのネイティブイメージは「想像する」です。
「想像する」「(証拠もなく)…と思う」「推察する」などの意味があります。自分の頭の中で空想を思いうかべたり、証拠もなく何かを考えるような表現です。
imagine how it would be if…(もし…ならどうなるだろうと想像する),imagine oneself as...(自分が…であるところを想像する),not imagine one will be able to pull ... off (…をやってのけることができないのではないかと思う)などの言いまわしがあります。
imagineの用例
I imagine they’ll be disappointed with the results when they get them.
(彼らは結果を知ったらがっかりすると思う)
I imagine you’re surprised to see me here today.
(今日、こんなところで僕に会って、びっくりなさっているんじゃないですか?)
「思う、考える」を意味する動詞の使い分け
①様々な「思う」の動詞
例文:I’m not sure, but I believe/think the proposal has already been submitted.
(確かではないが、提案はすでに出されたと思う)
believeは「なんとなく感じる」の「弱く思う」から、「確信する」の「強く思う」まで、 さまざまな意味で使われます。
文脈から判断するしかないですが、一般に宗教や信仰、信頼、可能性などをいう場合は、 「信じる」の意味が多いです。
一方、I believe it will rain tomorrow.は「明日は雨だと信じている」では不自然なため、「明日は雨かな」となり、「思う」の意味だと判断できます。
I believe God.なら「神様の言うことを信じる」で、I believe in God.は「神様の存在を信じる」「神様は本当にいると思う」となります。
またI believe aliens.なら「宇宙人の言うことを信じる」で、I believe in aliens.は「宇宙人の存在を信じる」となります。この2つの意味の違いは、覚えておきたいところです。
しかし、目的語がyouになると、また違うニュアンスになります。I believe you.は「あなたの言うことを信じるけれど」だが、I believe in you.なら「あなたはできると信じている」となります。いずれも非常によく使う言いまわしです。
believeとthinkは、「…かな」の意味でほぼ同様に使われることがあります。
その場合、 おもにI believe so.とI think so.を使いますが、I believe so.のほうがより真剣に考えているように聞こえます。自分のことを言うならI think so.で、少し距離を置いた表現にするならばI believe so.を使う傾向があります。
②気持ちや断定、よく考えて「思う」動詞
例文:We feel this isn’t a good time to embark on an enormous project.
(今は巨大プロジェク卜に乗り出す頃合いではないと思う)
feelには、おもに2つの意味があります。
1つは「気持ち」を表わし、I feel good.(気分がいい)や、I feel good about this proposal.(この提案には満足している)と使われる場合。
もう1つは「思う」の意味で、自分の意見や観察したことについて、断言を避けたい時によく使います。
I feel it my duty to pass on correct information at all times.(つねに正しい情報を伝えることが私の義務だと思う)のように用い、I feel...で、「断言できる確証はないが…と思う」となります。
「場合によっては、気持ちが変わるかもしれない」と逃げ道を残した言い方になるため、あまりfeelばかり使うと優柔不断に思われてしまうおそれもあります。
実はこの「思う」のfeelには、もう1つのニュアンスがあります。それは、「よく考えて…と思う」の意味合いです。
We feel that climate science is too important to be kept under wraps.(気象学は [よくよく考えると]あまりに重要で、非公開のままにしておくことはできないと思う)
のように、莫剣に検討した末の考えを表現することができます。このニュアンスは、日本人にはなじみのないものかもしれないので覚えておくとよいでしょう。
例文は、まさにこのWe feel (that)...を使った文章です。ただの「気持ち」を表わすものではなく、「よくよく考えた末の思い」を伝えていると考えれば、文脈も通ります。
もちろん「思う」のもっとも一般的な動詞であるthinkでもよいですが、より深いニュ アンスが出るfeelが最適です。一方、believeやimagineでは少し不自然に聞こえます。
ついでにもう1つ、逆の言いまわしのWe don’t feel...(…とは思わない)もよく耳にするので、覚えておきましょう。これは何かを否定する際、とても便利な言いまわしです。
たとえば、We don’t feel stupid for having that dream.(そんな夢を見るのがバカげたことだとは思わない)
と言えば、間接的な否定となるため、相手も嫌な気持ちになりません。否定の決まり文句といえます。
③あいまいに想像する動詞
例文:I haven’t talked to her yet, but I imagine she’s no longer interested in our proposal.
(私はまだ彼女に話をしていないが、彼女はもはやわれわれの提案に興味がないと思う)
He imagined up a strange SF story.(彼は奇妙なSFの物語を想像した)のように、 imagineといえば「想像する」だと考える人は多いです。
しかし、ネイティブが実際にいちばんよく使うのは、I think…(…と思う)に近い、曖昧な意味のimagineです。
I think it’s going to rain.(雨が降ると思う)をより「弱く」言うなら、I imagine it’s going to rain.になります。これを正確な日本語にすると、「根拠はないけど、雨が降るんじゃない?」。つまり「自分の発言に責任を取りたくない場合」に使うのが、I imagine...なのです。
I imagine...を使うのは「ほとんどが会話で、特に未来の可能性について話す場合」 が多いです。選択肢の中ではいちばん自信のない言い方となり、根拠があまりないような状況で使われます。
たとえば、Do you think John was surprised when he read the report?(そのレポートを読んでジョンは驚いたと思う?)と聞かれ、その場に居合わせず、 想像で答えるしかない場合は、I imagine so.(そう思う)と応答すれば、自然に受け止めてもらえる。「想像力を使って考えれば…だろうと思う」に近い響きです。
そのため、未来のことを言うにも、よくimagineが使われます。先のことは想像力で答えるしかないため、imagineはこのニュアンスをうまく表現できます。
例文も、未来のことを想定した内容となるため、imagineが最適です。thinkでももちろん良いですが、believeとfeelでは不自然です。
また、もう1つ、ネイティブらしいimagineの使い方を紹介しましょう。
人にちょっとした招待や依頼をする際、I don’t imagine you..., do you?(あなたは…とは思わないでしょうが)をよく使います。
I don’t imagine you want to go to the bank now, do you?で「まさか今、銀行に行きたいとは思っていないでしょうが…」となります。
④幅広い「思う」動詞
例文:We think we’ll need 60 workdays to finish this project.
(このプロジェク卜を仕上げるには、60日かかると思います)
thinkは「思う」の意味であれば、いつ、どこでも使えます。I think…は「…かな と思う」から「絶対に…だと思う」まで、幅広くいろいろな意味で用いられます。
会話の場合、イントネーションでどちらの意味かが伝わりますが、文書では曖昧になってしまうことが多いです。そのため、ネイティブはあえてI think…に代わる言葉を探します。
たとえば、I feel...はI thinkより控えめな言い方となります。I think...と言ったら What’s your proof?([思うと言うけど]その証拠は何?)と聞き返されるかもしれないですが、I feel…ならそう言われることもありません。そのため、わざとI feel very strongly that...と強く言ったり、I kind of feel that...と意味を弱めて言ったりすることもあります。
I think...を使う場合は、I think it looks okay.(ま、いいかなと思うんだけどね)や、 I think you’re wrong.(あなたは絶対間違っている)などの言いまわしを、状況や声の調子で使い分けるといいでしょう。
例文は、文脈的に特別なニュアンスがあるわけではないので、もっとも一般的なthinkが最適です。believeやimagineで言い換えることも可能ですが、あとで need (必要がある)と言っているので、feelでは弱すぎるだでしょう。
また、会話のbelieve, feel, imagineの主語にはI (私は)がふさわしいですが、 文書ではWe (企業など)が適当です。会話と文書での主語の使い分けも、気をつけたいところです。