quiteとveryの英単語は「とても」や「かなり」などと訳しますが、ある場合では異なるニュアンスを意味することがあります。
quiteは「とても」や「かなり」ではなく「まあまあ」と訳すのが適している場面があるのです。
ここではそのquiteとveryの違いを解説したいと思います。
quiteとveryの違い
あるイギリス人の教授が、日本のあるところで講演をした時の話です。
教授はうまく話せて、よい気分で演壇をおりたところ、旧知の日本の大学教授が近づき、にこにこ顔で、 “Your lecture was quite interesting."と言ったといいます。
イギリス人教授は一瞬腹が立ったけれど、「この笑顔の教授は、講演をほめている様子にも見える……。そうだ、大抵の日本人にとってquiteはveryと同じなのだ!」と 瞬時の中にそう思い返して、人のよさそうな教授に “Thank you."と答えたそうです。
このquiteとveryについては、まず、英米で差があり、アメリカではquiteもveryもほぼ同じであり、違いが問題になるのはイギリス英語の場合だということです。
イギリス英語ではquiteが「まあまあ」を意味することがある
quiteが修飾する形容詞が、impossible, perfectのように、どの程度だか差をつけられない語の場合はveryと同じで、good、interestingなどのように、 段階をつけられる語の場合は、「まあまあ」「かなり」という意味に使うといいます。
コンテクスト、語調、quiteを強く発音するか否か、などにも左右されるので、規則というほどははっきりしません。
上の例文では、日本人の教授は「とても面白い講演でした。」と言いたかったのですが、イギリス人教授には「まあまあ面白い講演でしたね。」に聞こえてしまいました。
しかし、イギリス人でもquiteとveryの使い方は微妙な使い方であり、なかなか外国人には説明できないといいます。
誤解を避けたいのなら、quiteは使用しないのが賢明だという人もいます。
しかし、イギリス人の書いた文章を読んだり、翻訳したりする時に迷うこともあります。会話なら、quiteに強調が置かれていれば「ほどほど」だということでわかりますが、文章では音は聞こえません。
通常はコンテクストから想像して見当がつきますけれど、それでも最終判断に自信が持てないこともあるのです。でも、隅々までよく知っているつもりの日本語にしても、 例えば自分で文章をまとめている時とか、あるいは日本語を学んでいる外国人に質問されたりした時、理解していない部分があることにふと気づきませんでしょうか。
言葉は微妙で難しいのですから、軽薄に「すぐしゃべれるようになる」とか「外国で暮らせば、ペラペラだ」 「英米じゃ、赤ん坊だって会話ができるんだ。」などという言葉が信用できないですね。
quiteを使った英語の例文
・Your lecture was quite interesting.
お話はまあまあ面白かったです。(イギリス英語の場合)
・Her plan is quite impossible.
彼女の案はまったく不可能だ。(英米の差はない)
・You are quite wrong.
君の言うことは、まったく間違いだな。(英米の差はない)