そして、日本人の英会話の積極性を奪う、最大の障害物といえば、「発音の不安」です。
日本語は英語と言語距離が遠いのですが、発音も遠く、これは「負の転移」といいますが、どうしても、日本語の発音に英語が引っ張られてしまうのです。
これはもう日本語がネイティブである以上、どうしょうもないです。
日本人が英語の発音を気にするワケ
では、なぜ、日本人は、そんなに発音に気を使うのでしょうか？
たとえば、あなたは、外国人が日本語で話すときに、それが発音が悪いからといってバカにしますか？いいえ、決してしないはずです。
それなのに、よくある笑い話に、外国人からCan you speak English?
と聞かれて、I can't speak English.と答える日本人が多い、というのがあります。
この話の笑いどころは、英語をちゃんと聞き取り、ちゃんと英語で答えているのに、「英語ができない」と言っている矛盾です。
外国人としては「しゃベれるじゃん」とツッコミたくなるところですし、場合によっては、意地悪されているような、不親切な対応として、怒りを招くでしょう。
でも、日本人として、I can't speak English.と言いたくなる心理は分かります。本当はI can't speak English very well.とか、I can't speak English fluently.と言いたいのかもしれませんが、いずれにせよ心の声としては、「私は英語がへタで、うまく発音できない。あなたや周りに聞かれると恥ずかしいので、私に英語をしゃベらせるのはカンベンしてほしい」みたいなことだと思います。消極性ですね。
相手は完璧な英語を求めているわけではないし、現に通じているのだから発音もOKなわけですが、それでも不可解なほど消極的になる。それほど、「発音の不安」の呪縛は強いようです。
日本人はアメリカ人に比べて発音に敏感だといいます。「発音が違うとか、調子が違うとか、上げ下げが違うとか、アメリカ人はわりあいに鈍感だが、日本人はことさらに敏感で、言葉を聞くことによって、こいつは自分とは違う、ということを感じる」という意見もあります。
なまりを気にするのと同じ
もしかしたら、周りが同じ日本語を話す人間ばかりなので、かえって微妙な差異に敏感になるのかもしれません。日本人同士でもなまりがあることを気にする人が多い文化ですが、それが、英語にも影響しているのかもしれません。
でも英語というのは、ネイテイブを除いて、しょせん第二言語ですし、いわゆる「文化語」としうもの道具としての言語です。コミュニケーションのための道具です。要するに、通じればいいのです。
英語の発音の不安は、方言のなまりを恐れる心理に近いのかもしれません。いわゆる「恥」の文化ですね。
しかし、それは時には美徳になりますが、時にはあなたの英語の上達の足を引っ張ってしまいます。
英語の日本語なまりは恥ずかしくない
残念ながら、あなたの英語の「日本語なまり」は決して消えません。韓国人の英語には韓国なまりがあり、中国人には中国なまりが、フィリピン人にはフィリピンなまりがあります。
米国に行けば、そういう「なまり」ある英語どうしが日常的に会話しています。英語というのはそういう言語です。いちいち差異を気にしていられません。
「なまり」は恥ずかしくないのです。
もちろん、アメリカ人だって、それぞれの州のなまりがあり、また、イギリスやオ—ストラリアにはまた別のなまりがあります。シンガポールなどは、聞き取るのに苦労するほどの、中国英語になります。それでも、みんな堂々としているわけです。
私たちも、堂々と「日本なまりの英語」を話してください。日本語なまりがあっても、ちょっとしたポイントだけ押さえれば、意外なくらい通じます。
日本語なまりの英語とは、典型的には、子音で終われず、最後に母音が混じる、catがキャットォに、dogがドッグゥになるものです。
ネイティブから聞きましたが、こうした日本語なまりの英語は母音の咅分が歌っているように聞こえて美しく、耳に決して不快ではないそうです。
「日本語なまりの英語は恥ずかしい」という思いとは、ここで永久にサヨナラしてください。
だって、別に母音が入ったとして、なんの問題もないのですから。
最初の子音さえしっかり発音できていれば、余計な母音が入っても、相手はなんの単語か、高い確率で想像できるからです。
キャットォと発音して、それがcatoではなくcatであるとネイティブの人は簡単に分かるでしょう。なぜなら、catoという単語がないからです。
